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    July 22

    転々

     転々 
     
    監督:三木聡
    主演:オダギリジョー
        三浦友和
     
    84万円の借金を抱えた大学8年生の竹村文哉(オダギリジョー)は、借金の取り立てにやってきた福原愛一郎(三浦友和)から、自分の散歩に付き合ってくれたら100万円やろうと持ちかけられる。借金を返す当てがまったくない文哉は、福原と一緒に井の頭公園を出発し霞ヶ関へ向かって歩き始めるが……。
    「亀は意外と速く泳ぐ」は半分ついていけなかったが、なんだか惹かれた。「イン・ザ・プール」は脚本が気に入らなかったが、後味は悪くなかった。「図鑑に載ってない虫」はゼリー藤尾にKOされた。小ネタとの相性はけっしてよいとは言えないが、なんだか見てしまう三木聡監督作品。この「転々」は岩松了とふせえりの場面をなくせばもっとカッコいい作品になるはずなのに、コメディへのこだわりを捨てずに自分の作りたいものを作っている。
    意外だったのは、東京を面白く見せたところ。二人が歩く道はいわゆる名所とは少し違ったところで、その見せ方がよい。深大寺のような情緒のある場所や、町の時計屋、窓から手を伸ばせば届きそうなところに信号機がある安宿。ただ、カッコいい構図で撮っているのに深大寺ではファースト・キスの話でおちゃらけ、時計屋の親父はやたらと強い。そんな展開で進んでいくのが心地よい。
    この散歩で文哉は経験したことのなかった“家族”を経験し、大きく人生観がかわったことだろう。しかし、福原はどうだったのだろうか? 麻紀子(小泉今日子)の家でガラス窓がうまく閉まらず、いくらがんばっても隙間ができてしまうシーンが頭から離れない。
     
    tenten
    June 30

    シンプル・プラン

     A Simple Plan 
     
    監督:サム・ライミ
    主演:ビル・パクストン
        ブリジット・フォンダ
     
    田舎の肥料店で働くハンク(ビル・パクストン)は、兄のジェイコブ(ビリー・ボブ・ソーントン)、兄の友人のルー(ブレント・ブリスコー)と父親の墓参りに行った帰りに、森の中で雪に埋もれたセスナ機を見つける。さらに中から440万ドルの現金を見つけた3人は、自分たちのものにしようと計画するが……。
    サム・ライミが正攻法で撮った秀作と言える作品。「シンプル」な計画だったはずが、少しずつ狂い始めて、気がついてみると登場人物たちは引き返せなくなっている。その場面場面での登場人物の心理を表情で伝えようとするところがよい。セリフに頼らない作り方に好感が持てる。登場人物が少なく、舞台となる田舎町は雪の中で、ストーリーにも明るさはないのだが、2時間を長く感じさせないのは、演出と役者のうまさがあったからだろう。中でもビリー・ボブ・ソーントンは難しい役どころをうまく演じている。一方、監督は美しく見せようといろいろ工夫をしていたように見えたが、ハンクの妻サラは中途半端な人物になってしまい、ブリジット・フォンダは魅力を出し切れていなかった。
     
    a_simple_plan   a_simple_plan-2
    May 26

    パンズ・ラビリンス

     El Laberinto del Fauno 
     
    監督:ギレルモ・デル・トロ
    主演:イバナ・バケロ
        セルジ・ロペス
     
    1944年、フランコ政権に反発するゲリラを鎮圧するために山奥に駐屯していたビダル大尉(セルジ・ロペス)と再婚したカルメン(アリアドナ・ヒル)は、娘のオフェリア(イバナ・バケロ)を連れて、ビダル大尉のもとを訪れる。オフェリアは妖精に導かれて迷宮の奥深く入り込み、パン[牧神](ダグ・ジョーンズ)から、意外なことを聞かされる。そして……。
    PG-12指定の社会派ファンタジー。オープニングの、横たわった少女の顔から流れていた血が逆
    回しでもとに戻っていく場面の異様さで、気軽に見られる作品でないとは思ったが、これほどまでにダークな作品とは……。
    ビダル大尉はフランコ政権の象徴で恐怖による圧政を実践する。ゲリラたちは果敢に立ち向かう
    。一見、ゲリラたちを称えているかのようだが、オフェリアがパンから与えられる3つの試練と結びつけて考えると、最後の「無垢な者のために血を流す」というところがひっかかる。ビダル大尉はもちろんだが、ゲリラたちにもこういった気持ちはない。人間の行いの不条理さなどを伝えたいのだろうか? それにしては、口を切ってしまうシーンやその後で縫うシーンなど高尚さのかけらも感じられないシーンがあったりして、全体をどう捉えてよいのかわからない。ストーリー展開やカメラワークは面白いが、やりたいことを詰め込みすぎた感がある。
     
    el_laberinto_del_fauno_1   el_laberinto_del_fauno_2
    May 02

    腑抜けども、悲しみの愛を見せろ

     腑抜けども、悲しみの愛を見せろ 
     
    監督:吉田大八
    主演:佐藤江梨子
        佐津川愛美
     
    交通事故で亡くなった両親の葬儀のために東京から帰省した和合澄伽(佐藤江梨子)。澄伽は女優になるために上京したが、鳴かず飛ばずだった。澄伽は自分が特別な存在であると信じて疑わず、成功できない理由はすべて他人にあると思っているような女性だった。実家で、母の連れ子だった兄の宍道(永瀬正敏)、兄嫁の待子(永作博美)、そして実の妹の清深(佐津川愛美)との生活が始まるが……。
    オープニングの交通事故の凄まじいシーンが物語のきっかけではなく伏線になっていたり、澄伽の過去が明らかになるたびに現在の行動に納得がいくようになっていたりと、なかなか凝った作品である。壊れた扇風機の使い方も面白い。なぜ、動かないのに出しっぱなしなのだろうかと思っていたら……。
    そして、この作品の中で一番輝いていたのは、何といっても待子を演じた永作博美。登場したと思ったとたんに突き飛ばされてコロコロ転がり、ヘンな人形作りに夢中になっていて、不幸な境遇だったためか底抜けに明るい。思いっきりわがままな澄伽と対照的な存在である待子は、とても難しい役どころではないかと思うが、永作博美は見事だった。
    「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」という言葉を言えるのは待子だけではないだろうか?
     
    funuke_1   funuke_2
    April 22

    エディット・ピアフ ~愛の讃歌~

     La Mome 
     
    監督:オリヴィエ・ダアン
    主演:マリオン・コティヤール
        シルヴィー・テステュー
     
    路上で歌を聞かせて生活していた母によって祖母の経営する娼館に預けられた後、路上で大道芸を見せ日銭を稼ぐ父と生活するようになったエディット・ジョヴァンナ・ガション(マリオン・コティヤール)。路上で歌っていたところをクラブのオーナー、ルイ・ルプレ(ジェラール・ドパルデュー)に認められ、“ピアフ(雀)”としてデビューする。彼女の歌唱力は観客を魅了し、瞬く間にスター歌手となる。アメリカへも進出し、ボクサーのマルセル(ジャン=ピエール・マルタンス)との幸せな日々を送る彼女だったが……。
    マリオン・コティヤールがとにかくすばらしい。ステージで歌いだすまでのおどおどした様子をかわいらしく演じたかと思うと、スターにありがちなわがままぶりを憎たらしさたっぷりに見せてくれる。そして、晩年の薬でぼろぼろになった姿は本当に痛々しい。“Taxi”のヒロインがこんなにもすばらしい女優になるとは。
    カメラワークも凝っていて、特にアメリカのホテルで飛行機事故の知らせを聞く場面は秀逸。ホテルの部屋から部屋へ移動するピアフと追いかけるカメラ。時にはピアフと違うルートでカメラが動き、事実を知ったピアフの絶叫。そしてステージへ。お見事!
    時間軸を統一させない展開は少しうるさく感じるが、よくできた作品だと思う。
     
    la_mome   la_mome_1
    April 16

    ゾディアック

     Zodiac 
     
    監督:デヴィッド・フィンチャー
    主演:ジェイク・ギレンホール
        マーク・ラファロ
     
    1969年7月4日、ドライブ中のカップルが何者かに銃撃された。1か月後、新聞社に犯行声明文と暗号文が送り付けられ、新聞記者のポール・エイブリー(ロバート・ダウニー・Jr)や風刺漫画家のグレイスミス(ジェイク・ギレンホール)は、この事件に夢中になっていく。警察の捜査にもかかわらず、“ゾディアック”と名乗る犯人の犯行は続き、事件にかかわる人々の人生にも影響を与え始める。
    アメリカで実際に起こった未解決事件をもとにした作品。監督のデヴィッド・フィンチャーで連続殺人といえば“セブン”が思い出されるが、いかにも作り事であった“セブン”に対し、事実に忠実な展開の中で良質のサスペンスを見せてくれている点で、この作品のほうが好きである。もっとも、映写技師の家の地下室の場面のように観客を脅かしたいがための場面があったりもする。フィンチャーが監督なのだから当然といえば当然だが。一番フィンチャーらしくないのは、未解決の事件を扱ったためラストにすっきりとした結論がないことだろう。“セブン”のような衝撃ももちろんない。
    作品の後半は、事件に取り憑かれたようなグレイスミスが描かれる。家族を省みずに事件にのめりこむというパターンはよくあるが、担当刑事のデイブ・トースキー(マーク・ラファロ)や同僚だったポールが事件から離れざるを得なくなる過程なども描かれていて、見ごたえがある。男たちの執念と挫折が複雑に絡み合った展開を、派手さを抑えた演出で描き出している。こんな作品を撮ったデヴィッド・フィンチャーの今後が楽しみである。
     
    zodiac-1
    March 18

    ハイヒール

     Tacones Lejanos 
     
    主演:ヴィクトリア・アブリル
        マリサ・パレデス
     
    15年振りにメキシコから帰国したベッキー(マリサ・パレデス)は往年の人気歌手だった。娘のレベーカ(ヴィクトリア・アブリル)は小さい頃に別れたきりの母を、複雑な思いを胸に出迎える。レベーカは自分がキャスターをしているテレビ局の社長マヌエル(フェオドール・アトキン)と結婚していたが、マヌエルはベッキーのかつての恋人であった。そして、1か月後マヌエルが別荘で殺されてしまい……。
    ペドロ・アルモドバルは、女性の描き方がやはりうまい。母と娘というテーマは、この後“ボルベール”でも描かれるが、すでにこの作品でひとつの完成品を作っている。母への愛憎を併せ持つ娘と、娘への愛情と男性への愛情との間で男性への愛情を優先させてしまう母親。しかし、母親であるベッキーは娘のことを思いながら「わたしを思って」と歌う。演じるマリサ・パレデスがすばらしいし、舞台にキスをし、そのキスマークに涙が落ちるという演出も見事。
    小道具や色の使い方はさすがアルモドバル。オープニングの空港の場面では、レベーカが真っ白なスーツなのに対し、ベッキーは真っ赤なスーツ。ベッキーに会う直前にレベーカは幼いときにベッキーから買ってもらったイヤリングをつける。しかしベッキーがそのイヤリングに気づくのはかなり後になってから。フラッシュバックも交えながら親子の微妙な関係をオープニングの短い時間でしっかりつかませてくれる。また、ベッキーが住む地下の部屋の壁の青も効果的である。
    いまいちだったのは、いかにもという髭のドミンゲス判事(ミゲル・ボゼ)。アルモドバルはサスペンスよりも人間関係を重視するためか、ストーリーを展開させる中心的な役割にもかかわらず、描き方が雑なように感じられる。
     
    tacones_lejanos2
    March 05

    ザ・プレイヤー

     The Player 
     
    監督:ロバート・アルトマン
    主演:ティム・ロビンス
        グレタ・スカッキ
     
    ハリウッドの大手映画スタジオの重役であるグリフィン・ミル(ティム・ロビンス)は、製作する映画を決定するために毎日多くの脚本家や監督と会い、彼らの売り込みの多くをボツにしてきた。そんなグリフィンのもとに脅迫の絵葉書が送られてくるようになる。また、20世紀フォックスから業界でも有名なプロデューサーを引き抜くという噂が流れ、グリフィンは自分のクビも心配になっていた。ある日、絵葉書の送り主に目星をつけたグリフィンはその男に会いに行くのだが……。
    グリフィンが作品中でヒットする映画に必要な条件を言う場面があるが、その条件をすべて備えたブラックなエンターテイメント作品。冒頭、舞台の映画スタジオの紹介をカメラを移動させながらのみごとな長回しで見せる。登場人物に「最近の映画はカットばかりだ。オーソン・ウェルズの『黒い罠』のオープニングの長回しは……」「ヒッチコックの『ロープ』は……」などのセリフを言わせながらである。そして最近のハリウッド映画を劇中で何度も批判する。グリフィンが行くことになる映画館で上映していた作品は『自転車泥棒』であるし、作品の最後に試写を行う映画の脚本家はリアリティにこだわる(この劇中映画は後にティム・ロビンスが脚本・監督を務めた『デッドマン・ウォーキング』を思わせる。スーザン・サランドンが出ているし……)。しかし、グリフィンがジューン(グレタ・スカッキ)を連れて行った砂漠の中のスパ・リゾートをジューンは「映画みたい」と表現したり、サスペンスを強調したい場面では思わせぶりな演出が多かったりと、作品には意識してハリウッド的な要素をちりばめている。
    そして、最後にグリフィンが車の中で聞く企画と、作品の一番最初がカチンコだったことを考えると、この作品そのものが……?
    有名作品のパロディもいたるところにある。一番好きなシーンは、『地獄の黙示録』を意識した泥風呂のところ! これにはやられた。
     
    the_player
    February 26

    アカデミー賞

     第80回アカデミー賞決定! 
     
    作品賞
    『ノーカントリー』
    監督賞
    ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン 『ノーカントリー』
    主演男優賞
    ダニエル・デイ=ルイス 『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』
    主演女優賞
    マリオン・コティヤール 『エディット・ピアフ~愛の讃歌~』
    助演男優賞
    ハビエル・バルテム 『ノーカントリー』
    助演女優賞
    ティルダ・スウィントン 『フィクサー』
    脚本賞
    『JUNO/ジュノ』
    脚色賞
    『ノーカントリー』
    撮影賞
    『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』
    編集賞
    『ボーン・アルティメイタム』
    美術賞
    『スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師』
    衣装デザイン賞
    『エリザベス:ゴールデン・エイジ』
    メイクアップ賞
    『エディット・ピアフ~愛の讃歌~』
    視覚効果賞
    『ライラの冒険 黄金の羅針盤』
    録音賞
    『ボーン・アルティメイタム』
    音響編集賞
    『ボーン・アルティメイタム』
    作曲賞
    『つぐない』
    歌曲賞
    「Falling Slowly」 『ONCE ダブリンの街角で』
    長編アニメ映画賞
    『レミーのおいしいレストラン』
    外国語映画賞
    『ヒトラーの贋作』
    長編ドキュメンタリー賞
    『「闇」へ』
    短編ドキュメンタリー賞
    『Freeheld』
    短編実写映画賞
    『Le Mozart des Pickpockets(原題)』
    短編アニメ賞
    『Peter & the Wolf(原題)』

     

    コーエン兄弟もアカデミー賞監督になってしまいましたか……。
    February 25

    ゴールデン・ラズベリー賞

     第28回ゴールデン・ラズベリー賞決定! 
     
    ワースト作品賞
    『アイ・ノウ・フー・キルド・ミー』(原題)
    ワースト主演男優賞
    エディ・マーフィ 『マッド・ファット・ワイフ』
    ワースト主演女優賞
    リンジー・ローハン 『アイ・ノウ・フー・キルド・ミー』(原題)
    ※Aubrey役とDakota役でダブル受賞
    ワースト助演男優賞
    エディ・マーフィ (Mr.Wong役)『マッド・ファット・ワイフ』
    ワースト助演女優賞
    エディ・マーフィ (Rasputia役)『マッド・ファット・ワイフ』
    ワースト・スクリーン・カップル賞
    リンジー・ローハン (2役)『アイ・ノウ・フー・キルド・ミー』(原題)
    ワースト・リメイク(盗作)賞
    『アイ・ノウ・フー・キルド・ミー』(原題)
    (『ホステル』『ソウ』『パティ・デューク・ショウ』の盗作として)
    ワースト前後編賞
    『ダディ・デイキャンプ』(原題)
    ワースト監督賞
    Chris Siverston 『アイ・ノウ・フー・キルド・ミー』(原題)
    ワースト脚本賞
    Jeffrey Hammond 『アイ・ノウ・フー・キルド・ミー』(原題)
    Worst Excuse for a Horror Movie
    『アイ・ノウ・フー・キルド・ミー』(原題)
     
    なんと『アイ・ノウ・フー・キルド・ミー』(原題)は8部門で受賞。主演のリンジー・ローハンは一人二役で主演女優賞を2つ受賞するという快挙!
    さらに、エディ・マーフィは3部門での受賞でした。
    評判の悪い『マッド・ファット・ワイフ』ですが、今のところ全世界で1億5800万ドル(約170億円)も興行収入があるそうです。
    February 24

    ある日、突然。

     Tan de Repente 
     
    監督:ディエゴ・レルマン
    出演:タチアナ・サフィル
        ベロニカ・ハサン
     
    ちょっと(?)太目のマルシア(タチアナ・サフィル)は、ブエノスアイレスにあるあまり客の来ないランジェリー・ショップで働いていた。ある日、ショートヘアの2人組の女の子、マオ(カルラ・クレスポ)とレーニン(ヴェロニカ・ハサン)にナイフで脅され拉致られるようにして旅にることになってしまう。タクシーの運転手を脅してタクシーを奪う2人におびえていたマルシアだったが、海を見たことがないとふと漏らしたマルシアの一言から、2人が海に連れて行ってくれたことをきっかけに、少しずつ心境に変化が訪れる。そして、……。
    マルシアがランジェリー・ショップで同僚と占いの話をしている時点で、突然何かが起こることは予期でき、ナイフで脅され、奪ったタクシーに乗せられ、目隠しをされ、という展開から、2人のハチャメチャさがマルシアを変えていくのかと思っていた。しかし、そんなありがちのつまらない作品ではなかった。レーニンの大叔母ブランカ(ベアトリス・ティボーディン)の家では3人の心理が微妙に絡み合い、3人それぞれの心が変化していく。3人は別々の行動をとるが、それは作品前半のような派手な行動ではない。派手さはないが、細かい出来事を通して3人の心情が変化していく。3人の行動を並行して見せることでその変化の過程をうまく描き出している。また、モノクロの映像が醸し出す雰囲気も効果的だった。
     
    tan_de_repente
    February 13

    さらば冬のかもめ

     The Last Detail 
     
    監督:ハル・アシュビー
    主演:ジャック・ニコルソン
        ランディ・クエイド
     
    アメリカ海軍のバダスキー(ジャック・ニコルソン)とマルホール(オーティス・ヤング)は、基地の募金箱から40ドルを盗もうとした罪で8年の罪を宣告されたメドウズ(ランディ・クエイド)を、ポーツマスにある海軍刑務所に護送することになった。少し型破りなバダスキーは、盗もうとしただけで8年の実刑を受けることになった未成年のメドウズに同情したのか、途中の町で酒盛りをしたり女を世話してやろうとしたり……。
    70年代の匂いがプンプンだが、いい意味で最近の作品にない味わいを持った作品。登場人物の描き方がしっかりしていて、大きな事件が起こらなくても十分に楽しめる。バダスキーは破天荒で、相棒のマルホールは生真面目、そして、メドウズは盗み癖があり内向的な性格。典型的な3人なのだが徐々に意気投合していく。その描き方がさらっとしていて心地よい。ハンバーガーの溶けたチーズが好きだというメドウズの注文したハンバーガーが、注文に反してチーズの溶けていないものだったとき、メドウズはそのまま食べてしまおうとするが、バダスキーは店員に突き返せという。それが旅を続けていくとメドウズは自ら文句を言うようになる。1つひとつの小さなエピソードを通じて登場人物を描くところがうまい。
    楽しく旅は続く。でも、これは70年代の作品で、そのまま終わるはずがない。軍への批判とともに少し後味の悪さを残しながら作品は終わるのである。
     
    the_last_detail
    January 23

    映画賞ノミネート

    アカデミー賞ノミネート
     
    作品賞
    『つぐない』  『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』  『ノーカントリー』  『JUNO/ジュノ』  『フィクサー』
     
    監督賞
    イーサン・コーエン、ジョエル・コーエン (『ノーカントリー』)
    ジュリアン・シュナーベル (『潜水服は蝶の夢を見る』)
    ポール・トーマス・アンダーソン (『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』)
    ジェイソン・ライトマン (『JUNO/ジュノ』)
    トニー・ギルロイ (『フィクサー』)
     
    主演男優賞
    ダニエル・デイ・ルイス (『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』)
    ジョニー・デップ (『スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師』)
    ヴィゴ・モーテンセン (“Eastern Promises”)
    ジョージ・クルーニ— (『フィクサー』)
    トミー・リー・ジョーンズ (『告発のとき』)
     
    主演女優賞
    ジュリー・クリスティ (『アウェイ・フロム・ハー 君を想う』)
    マリオン・コティヤール (『エディット・ピアフ~愛の讃歌~』)
    エレン・ペイジ (『JUNO/ジュノ』)
    ケイト・ブランシェット (『エリザベス:ゴールデン・エイジ』)
    ローラ・リニー (“The Savages”)
     
    助演男優賞
    ハビエル・バルデム (『ノーカントリー』)
    トム・ウィルキンソン (『フィクサー』)
    フィリップ・シーモア・ホフマン (『チャーリー・ウィルソンズ・ウォー』)
    ケイシー・アフレック (『ジェシー・ジェームズの暗殺』)
    ハル・ホルブルック (“Into the Wild”)
     
    助演女優賞
    ケイト・ブランシェット (『アイム・ノット・ゼア』)
    シアーシャ・ローナン (『つぐない』)
    ルビー・ディー (『アメリカン・ギャングスター』)
    エイミー・ライアン (“Gone Baby Gone”)
    ティルダ・スウィントン (『フィクサー』)
     
    脚本賞
    『JUNO/ジュノ』
    『フィクサー』
    “Lars and the Real Girl”
    『レミーのおいしいレストラン』
    “The Savages”
     
    脚色賞
    『ノーカントリー』
    『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』
    『潜水服は蝶の夢を見る』
    『つぐない』
    『アウェイ・フロム・ハー 君を想う』
     
    長編アニメーション賞
    『レミーのおいしいレストラン』
    『ペルセポリス』
    『サーフズ・アップ』
     
    外国語映画賞
    『ヒトラーの贋札』 (オーストリア/ステファン・ルツォビッキー監督)
    『ボーフォート -レバノンからの撤退—』 (イスラエル/ジョゼフ・セダー監督)
    “Mongol” (カザフスタン/セルゲイ・ボドロフ監督、浅野忠信主演)
    “Katyn” (ポーランド/アンジェイ・ワイダ監督)
    “12” (ロシア/ニキータ・ミハルコフ監督)
     
     
    ラジー賞ノミネート
     
    ワースト作品賞
    『アイ・ノウ・フー・キルド・ミー』(原題)
    『ブラッツ』(原題)
    『アイ・ナウ・フロノンス・ユー・チャック・アンド・ラリー』(原題)
    『ノービット』(原題)
    『ダディ・デイキャンプ』(原題)
     
    ワースト男優賞
    エディ・マーフィ 『ノービット』(原題)
    アダム・サンドラー 『アイ・ナウ・フロノンス・ユー・チャック・アンド・ラリー』(原題)
    キューバ・グッディング・Jr. 『ダディ・デイキャンプ』(原題)
    ニコラス・ケイジ 『ゴースト・ライダー』
    ジム・キャリー 『ナンバー23』
     
    ワースト女優賞
    リンジー・ローハン(一人二役で2回ノミネート) 『アイ・ノウ・フー・キルド・ミー』(原題)
    ジェシカ・アルバ 『アウェイク』(原題)『ファンタスティック・フォー:銀河の危機』『グッドラック・チャック』(原題)
    エリシャ・カスバート 『キャプティビティ』
    ダイアン・キートン 『恋とスフレと娘とわたし』
    ほか
     
    ワースト助演男優賞
    エディ・マーフィ 『ノービット』(原題)
    オーランド・ブルーム 『パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド』
    ジョン・ヴォイト 『ナショナル・トレジャー/リンカーン暗殺者の日記』『ブラッツ』(原題)『トランスフォーマー』『セプテンバー・ドーン』(原題)
    ほか
     
    ワースト助演女優賞
    エディ・マーフィ 『ノービット』(原題)
    ジェシカ・ビール 『アイ・ナウ・フロノンス・ユー・チャック・アンド・ラリー』(原題)『NEXT -ネクスト-』
    ジュリア・オーモンド 『アイ・ノウ・フー・キルド・ミー』(原題)
    カーメン・エレクトラ 『鉄板英雄伝説』
    ほか
    January 22

    ゆれる

     ゆれる 
     
    監督:西川美和
    主演:オダギリジョー
        香川照之
     
    カメラマンの早川猛(オダギリジョー)は母の法事で久しぶりに帰省する。ガソリンスタンドを経営する父(伊武雅刀)は自由奔放な猛を快く思っていないが、兄の稔(香川照之)は猛に優しく接してくれる。その日、猛は、稔の下で働いている、かつて2人の間には何かがあったと思われる川端智恵子(真木よう子)を車で送るが、智恵子の部屋で……。翌日、稔の提案で近くの渓谷に出かけた3人だったが、智恵子が吊り橋から落ちてしまい……。
    吊り橋も、女心も、事件の真相も、親子の関係も、兄弟の関係も、すべてが「ゆれる」作品。ついでに評価もゆれるのではないだろうか。セリフを少なくして、エピソードや映像から登場人物の心情を読み取らせようというタイプの撮り方には、とても共感を覚える。オダギリジョーで、暗めの内容だから効果的である。猛がキレル場面で、大声を出すオダギリジョーはなんだか様にならないが、香川照之はいい感じだった。法廷で話していないときの表情やしぐさに感心させられた。また、話の展開の中にくどい描写がなく、当然こうなると想像のつくシーンは見せずに次のシーンへと移っていくところも心地よい。
    しかし、119分を長く感じたのは、猛の父と弁護士である叔父(蟹江敬三)との関係や、智恵子の母の描き方が物足りなかったからか? テーマをはっきりさせようとして入れられたであろう父と叔父の確執は、稔と猛にそのまま引き継がれていたということなのだが、居酒屋でそれまでの稔の弁護に対する感謝とこれからの引き続きの弁護をお願いして叔父に頭を下げる父の姿以降2人の関係は描かれない。そして父はボケてしまう。智恵子の母も法廷シーンであれだけ顔を見せておきながら、猛の父からのお金を返して以降は描かれない。なんだかすっきりしない。
     
    yureru
    January 11

    ボルベール <帰郷>

     Volver 
     
    監督:ペドロ・アルモドバル
    主演:ペネロペ・クルス
        カルメン・マウラ
     
    ライムンダ(ペネロペ・クルス)と娘のパウラ(ヨアンナ・コボ)、ライムンダの姉のソーレ(ロラ・ドゥエニャス)は母の墓参りに行った故郷のラ・マンチャで、伯母のパウラ(チュス・ランプレアベ)を訪ねる。ボケてしまいパウラとソーレのことを忘れてしまっていた伯母だったが、よく見えないはずの目で料理をしているなど、少し不可解なことが。そんな伯母が亡くなったという知らせが、伯母の隣人のアグスティナ(ブランカ・ポルティージョ)から、しばらくして届いたが、ライムンダの家では娘のパウラに関係を迫った父親がパウラに刺し殺されてしまっていた。娘を助けるために事後処理に必死になるライムンダ。一方、伯母の葬儀に行ったソーレは死んだ母イレネ(カルメン・マウラ)の幽霊話を耳にする。そして、葬儀から帰ってくると……。
    カンヌ国際映画祭がペネロペ・クルス、ヨアンナ・コボ、ロラ・ドゥエニャス、チュス・ランプレアベ、ブランカ・ポルティージョ、カルメン・マウラの6人全員に女優賞という異例の大盤振る舞いをしたのも納得できる。彼女たちはすばらしかった。相変わらず少しブラックなのだが温かみのあるストーリーの中で、アルモドバル作品のかつての常連であったチュス・ランプレアベやカルメン・マウラにロラ・ドゥエニャスを加えたおとぼけ組とペネロペ・クルスのやり取りが絶妙! アルモドバルの演出がピタリとはまっていた。
    また、冒頭の墓地のシーンから全編を通してアルモドバルらしい映像が炸裂していて楽しませてくれる。画面の中に美しく映える原色、凝ったカメラワークが独特の雰囲気を与えている。伯母の家の前の道は色らしい色がなく室内は青いイメージだが、ソーレの車は真っ赤。ライムンダの家の中やソーレの家の中はカラフルな色があふれている。暖色と寒色を使い分けた画面の作り方が見事である。
    ところで、エンドクレジットはヒッチコックの“北北西に進路を取れ”を意識しただろうか。そういえば音楽も……。
     
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    January 03

    バベル

     Babel 
     
    監督:アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ
    主演:ブラッド・ピット
        ケイト・ブランシェット
     
    モロッコに住むアブドゥラ(ムスタファ・ラシディ)一家。息子のアフメッド(サイード・タルカーニ)とユセフ(ブブケ・アイト・エル・カイド)は父が手に入れた銃を持ってヤギを山に連れて行くが……。
    アメリカ人のリチャード(ブラッド・ピット)とスーザン(ケイト・ブランシェット)は2人の子どもを家政婦に任せてモロッコに旅行中だが、夫婦の関係はうまくいっていない。2人がバスで移動中……

    メキシコ人のアメリア(アドリアナ・バラーザ)はアメリカで家政婦として働いていた。雇い主の夫妻の留守中、夫妻の2人の子どもの面倒を見ていたが、メキシコでの息子の結婚式の日に夫妻が帰れなくなり、仕方なく2人の子どもを連れて行くが……。
    日本人のチエコ(菊地凛子)は耳が不自由なために聾唖学校に通っている女子高生。障害を持った自分に強いコンプレックスを感じている。父親のヤスジロー(役所広司)との関係もギクシャクしているが……。
    4つのエピソードを時間をちょっとずらして同時に描いた作品。この監督は心情の描写がうまい。役者に語らせずに表情や情景を通じて伝えようとしている。また、セリフに説明的なものが少なく、見せてくれる作品になっている。
    “バベル”というタイトルは「神が人間の言語を分けた」ということを表しているのだろうが、言語の違いというよりもコミュニケーション不足、コミュニケーションの拒否ということがテーマであろう。
    アブドゥラ親子に対し警官隊は容赦なく発砲するし、国境警備員はアメリアと子どもたちを乗せた車を運転していたサンチャゴ(ガエル・ガルシア・ベルナル)の言うことを聞こうとしない(サンチャゴにも責任はあるが)。そして、障害を持つチエコは自分のことを本当にわかってくれる人物を求めている。結局、全員がそれぞれ最悪の経験をすることにより大切なことを知る。
    ここまでの経験をしないと人間は学習しないということなのだろうか?
     
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    December 24

    女と女と井戸の中

     The Well 
     
    監督:サマンサ・ラング
    出演:パメラ・レーブ
        ミランダ・オットー
     
    高齢の父親とふたり暮しの中年女性ヘスター(パメラ・レーブ)の家に家政婦として雇われた若い娘キャスリン(ミランダ・オットー)は、田舎暮らしと仕事の量に嫌気が差して家を出てしまうこともあったが、ヘスターとの間に親密な感情が少しずつ生まれていった。父親が亡くなり家と土地を手に入れたヘスターは、ヨーロッパ旅行にキャスリンと2人で行きたいと思うようになる。しかし、遺産は現金でないためにヘスターは家を手放して多額の現金を手に入れ、キャスリンと2人で小さなコテージ暮らしをはじめるのだが……。
    映像へのこだわりが感じられる作品。室内のシーンは色をおさえた映像でB級映画のような雰囲気だが、登場人物の心情を表現するのには効果的。同時に閉塞感も伝わってくる。その中でヘスターがキャスリンのために作るドレスの黄色や、お揃いの白いドレスで踊るときにキャスリンが持っている赤い布などが映える。対照的に、街へ向かうときなど野外のシーンではオーストラリアの広大な風景を見せ、束の間の開放感を与えてくれる。
    象徴的なものや伏線もいたるところにあっておもしろい。父親が亡くなったときにヘスターが真っ先にすることが、父親の首にある鍵をはずし自分の首にかけること。管理者になるのである。しかし、キャスリンを管理することはできない。欲しいものを与えて閉じ込めておくだけ。井戸も同様の意味を持っている。キャスリンは井戸の中に落とされた男と同じ状況にあったといってよい。さらに、井戸の中の男に恋をしたと言うキャスリンはキャスリンに恋をしたヘスターであり、そんなキャスリンを否定することはヘスターが自分自身を否定しているのと同じことだったのである。
     
    the_well
    December 13

    キンキーブーツ

     Kinky Boots 
     
    監督:ジュリアン・ジャロルド
    出演:ジョエル・エドガートン
        キウェテル・イジョフォー
     
    恋人の転勤により、ノーサンプトンで父親が経営する靴工場からやっと離れられたチャーリー(ジョエル・エドガートン)だったが、父親の急死で工場の経営者となってしまった。しかし、工場は危機的な状態で倒産寸前。チャーリーはリストラにより危機を乗り切ろうとするが、その対象となった従業員のローレン(サラ=ジェーン・ポッツ)の言葉と、ロンドンで知り合ったドラァグ・クィーンのローラ(キウェテル・イジョフォー)の助けを借りて、新たな路線での建て直しを図る。そして……。
    ストーリー展開の仕方や伏線の使い方がうまく、肩の力を抜いて見られる作品ではあるが凝った作りとなっている。靴が重要なファクターということもあって、足元を捉えたカットが印象的。オープニングの桟橋のシーンから始まって終盤のミラノのステージまで、重要な場面で効果的に使われている。また、イギリスらしい暗さの中に鮮やかなローラの衣装が映え、視覚的にもこだわりを感じる。
    しかし、主人公のチャーリーに今ひとつ感情移入できない。父親から靴工場の跡取りとしての教育を受けながら、工場を継ぐ気がなかったように見えていた(自社の靴を履かずにスニーカーを履いていたのはその気持ちの表れだったであろう)のに、途中から工場に対する思いがものすごく強くなっている。15人も退職させなければいけなかったことが理由だとチャーリーは言うが、従業員たちに退職を勧告する場面は短いカットをつないでコミカルに描かれる。その場面からチャーリーの苦悩は感じられない。他の部分でもチャーリーは中途半端に描かれているように感じられる。対照的にローラはうまく描かれていて(あの留守電のメッセージでミラノ行きを決めるかどうかは疑問だが)、そこが全体的にしっくりこない要因ではないかと思う。惜しい作品。
     
    kinky_boots
    November 29

    かもめ食堂

     かもめ食堂 
     
    監督:荻上直子
    出演:小林聡美
        片桐はいり
     
    サチエ(小林聡美)は、フィンランドで“かもめ食堂”という店を開いているが、開店からひと月たっても客は来ない。この店の最初の客となった日本かぶれの青年トンミ・ヒルトネン(ヤルッコ・ニエミ)が「ガッチャマン」の歌を口ずさんでいたことがきっかけとなり、サチエはミドリ(片桐はいり)と知り合うことになる。さらに、もう1人の日本人マサコ(もたいまさこ)が加わり……。
    派手な展開にはまったくならず、美しい映像で淡々と登場人物を描いていき、それぞれの登場人物が持つ過去についてはちょっとした手がかりを与えるだけで、決して深くは追求しない。そのほのめかし方と見せ方がなんとも上手な作品である。サチエ、ミドリ、マサコの3人とも、フィンランドに来たのは重い過去からの決別ではないかと感じられるのだが、最後まで事情ははっきりと語られることがない。暗示されるだけである。「荷物(両親?)がなくなった」マサコはしばらくフィンランドの生活を続けたが、荷物が見つかると「帰らなくてはならない」と言い出す。しかし、見つかった荷物は自分のものと「ちょっと」違っていて、また、猫(荷物)を飼わなければいけなくなってやっぱり帰らないことにする。
    サチエもミドリも何か訳ありで、お互いに気になってはいるのだろうが、直接聞いてみたりはしない。「知っているようで知らないことって結構あるんですよね」というミドリのセリフに象徴されるような
    人間関係を続けていく。対照的に、つぶれてしまった店の思い出となるコーヒーミルを盗みにくるマッティ(マルック・ペルトラ)や、逃げた亭主を恨んで藁人形に釘を打つ女性(タリア・マルクス)などのフィンランド人が、まるで日本人のように描かれている。それでも、彼女たちはおにぎり(「ソウルフード」と説明している)に象徴される日本人の心を持ち続けていて、それがこの作品の隠し味となっている。
     
    kamome