![]() |
|
Spaces home (裏)映画への独り言ProfileFriendsBlogMore ![]() | ![]() |
(裏)映画への独り言映画のレヴューは“今週の一本勝負”をご覧ください。
|
|||||
|
June 30 シンプル・プラン A Simple Plan
監督:サム・ライミ
主演:ビル・パクストン ブリジット・フォンダ 田舎の肥料店で働くハンク(ビル・パクストン)は、兄のジェイコブ(ビリー・ボブ・ソーントン)、兄の友人のルー(ブレント・ブリスコー)と父親の墓参りに行った帰りに、森の中で雪に埋もれたセスナ機を見つける。さらに中から440万ドルの現金を見つけた3人は、自分たちのものにしようと計画するが……。
サム・ライミが正攻法で撮った秀作と言える作品。「シンプル」な計画だったはずが、少しずつ狂い始めて、気がついてみると登場人物たちは引き返せなくなっている。その場面場面での登場人物の心理を表情で伝えようとするところがよい。セリフに頼らない作り方に好感が持てる。登場人物が少なく、舞台となる田舎町は雪の中で、ストーリーにも明るさはないのだが、2時間を長く感じさせないのは、演出と役者のうまさがあったからだろう。中でもビリー・ボブ・ソーントンは難しい役どころをうまく演じている。一方、監督は美しく見せようといろいろ工夫をしていたように見えたが、ハンクの妻サラは中途半端な人物になってしまい、ブリジット・フォンダは魅力を出し切れていなかった。 May 26 パンズ・ラビリンス El Laberinto del Fauno
監督:ギレルモ・デル・トロ
主演:イバナ・バケロ
セルジ・ロペス
1944年、フランコ政権に反発するゲリラを鎮圧するために山奥に駐屯していたビダル大尉(セルジ・ロペス)と再婚したカルメン(アリアドナ・ヒル)は、娘のオフェリア(イバナ・バケロ)を連れて、ビダル大尉のもとを訪れる。オフェリアは妖精に導かれて迷宮の奥深く入り込み、パン[牧神](ダグ・ジョーンズ)から、意外なことを聞かされる。そして……。
PG-12指定の社会派ファンタジー。オープニングの、横たわった少女の顔から流れていた血が逆回しでもとに戻っていく場面の異様さで、気軽に見られる作品でないとは思ったが、これほどまでにダークな作品とは……。 ビダル大尉はフランコ政権の象徴で恐怖による圧政を実践する。ゲリラたちは果敢に立ち向かう。一見、ゲリラたちを称えているかのようだが、オフェリアがパンから与えられる3つの試練と結びつけて考えると、最後の「無垢な者のために血を流す」というところがひっかかる。ビダル大尉はもちろんだが、ゲリラたちにもこういった気持ちはない。人間の行いの不条理さなどを伝えたいのだろうか? それにしては、口を切ってしまうシーンやその後で縫うシーンなど高尚さのかけらも感じられないシーンがあったりして、全体をどう捉えてよいのかわからない。ストーリー展開やカメラワークは面白いが、やりたいことを詰め込みすぎた感がある。 May 02 腑抜けども、悲しみの愛を見せろ 腑抜けども、悲しみの愛を見せろ
監督:吉田大八
主演:佐藤江梨子
佐津川愛美
交通事故で亡くなった両親の葬儀のために東京から帰省した和合澄伽(佐藤江梨子)。澄伽は女優になるために上京したが、鳴かず飛ばずだった。澄伽は自分が特別な存在であると信じて疑わず、成功できない理由はすべて他人にあると思っているような女性だった。実家で、母の連れ子だった兄の宍道(永瀬正敏)、兄嫁の待子(永作博美)、そして実の妹の清深(佐津川愛美)との生活が始まるが……。
オープニングの交通事故の凄まじいシーンが物語のきっかけではなく伏線になっていたり、澄伽の過去が明らかになるたびに現在の行動に納得がいくようになっていたりと、なかなか凝った作品である。壊れた扇風機の使い方も面白い。なぜ、動かないのに出しっぱなしなのだろうかと思っていたら……。 そして、この作品の中で一番輝いていたのは、何といっても待子を演じた永作博美。登場したと思ったとたんに突き飛ばされてコロコロ転がり、ヘンな人形作りに夢中になっていて、不幸な境遇だったためか底抜けに明るい。思いっきりわがままな澄伽と対照的な存在である待子は、とても難しい役どころではないかと思うが、永作博美は見事だった。 「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」という言葉を言えるのは待子だけではないだろうか? April 22 エディット・ピアフ ~愛の讃歌~ La Mome
監督:オリヴィエ・ダアン
主演:マリオン・コティヤール シルヴィー・テステュー 路上で歌を聞かせて生活していた母によって祖母の経営する娼館に預けられた後、路上で大道芸を見せ日銭を稼ぐ父と生活するようになったエディット・ジョヴァンナ・ガション(マリオン・コティヤール)。路上で歌っていたところをクラブのオーナー、ルイ・ルプレ(ジェラール・ドパルデュー)に認められ、“ピアフ(雀)”としてデビューする。彼女の歌唱力は観客を魅了し、瞬く間にスター歌手となる。アメリカへも進出し、ボクサーのマルセル(ジャン=ピエール・マルタンス)との幸せな日々を送る彼女だったが……。
マリオン・コティヤールがとにかくすばらしい。ステージで歌いだすまでのおどおどした様子をかわいらしく演じたかと思うと、スターにありがちなわがままぶりを憎たらしさたっぷりに見せてくれる。そして、晩年の薬でぼろぼろになった姿は本当に痛々しい。“Taxi”のヒロインがこんなにもすばらしい女優になるとは。 カメラワークも凝っていて、特にアメリカのホテルで飛行機事故の知らせを聞く場面は秀逸。ホテルの部屋から部屋へ移動するピアフと追いかけるカメラ。時にはピアフと違うルートでカメラが動き、事実を知ったピアフの絶叫。そしてステージへ。お見事! 時間軸を統一させない展開は少しうるさく感じるが、よくできた作品だと思う。 April 16 ゾディアック Zodiac
監督:デヴィッド・フィンチャー
主演:ジェイク・ギレンホール
マーク・ラファロ
1969年7月4日、ドライブ中のカップルが何者かに銃撃された。1か月後、新聞社に犯行声明文と暗号文が送り付けられ、新聞記者のポール・エイブリー(ロバート・ダウニー・Jr)や風刺漫画家のグレイスミス(ジェイク・ギレンホール)は、この事件に夢中になっていく。警察の捜査にもかかわらず、“ゾディアック”と名乗る犯人の犯行は続き、事件にかかわる人々の人生にも影響を与え始める。
アメリカで実際に起こった未解決事件をもとにした作品。監督のデヴィッド・フィンチャーで連続殺人といえば“セブン”が思い出されるが、いかにも作り事であった“セブン”に対し、事実に忠実な展開の中で良質のサスペンスを見せてくれている点で、この作品のほうが好きである。もっとも、映写技師の家の地下室の場面のように観客を脅かしたいがための場面があったりもする。フィンチャーが監督なのだから当然といえば当然だが。一番フィンチャーらしくないのは、未解決の事件を扱ったためラストにすっきりとした結論がないことだろう。“セブン”のような衝撃ももちろんない。 作品の後半は、事件に取り憑かれたようなグレイスミスが描かれる。家族を省みずに事件にのめりこむというパターンはよくあるが、担当刑事のデイブ・トースキー(マーク・ラファロ)や同僚だったポールが事件から離れざるを得なくなる過程なども描かれていて、見ごたえがある。男たちの執念と挫折が複雑に絡み合った展開を、派手さを抑えた演出で描き出している。こんな作品を撮ったデヴィッド・フィンチャーの今後が楽しみである。
|
|||||
|
|